終わらない夏を、ただ夢見ていた

夏嫌いの夏生まれの私が大好きだったものは「夏休み」で、
憂鬱だったのは「登校日」だった。
私は所謂「転校生いじめ」にあっていて
保健室でただ先生と話をしに行っていた。
その空間はとてもとても平穏で
私は時々先生にわがままを言ったりして
そんな事も許される空間だと思っていた。

ある日、クラスの女の子たちが私の四肢を掴んで
保健室から引きずり出そうと試みた。
「教室は楽しいよ」
そんな大義名分を振りかざして。
その時、先生は居なかったから
私は必死で引きずり出されまい、と抵抗した。
その抵抗ぶりに諦めた女の子たちは、おもちゃを放り投げる様に
私の四肢からぽい、と手を離した。

私を引きずり出せ、と命じたのは、担任の女教師だった。

私はその日から、人に触れられることが嫌いになった。

普通の女の子が好きな「頭に触れられる」行為は
親が殴りすぎたせいで恐怖しか覚えず
普通の女の子が出来る「手を繋ぐ」行為も
この事件がきっかけで躊躇いが先に出る。
みんなは私の個性を褒めるけれど
私は本当は「普通」になりたかった。
なれるものなら「凡人」になりたかった。
でも、なれなかった。
私が生きるには、この世界はちょっとずれていたんだ。

私の様にこの世界を上手に泳げない魚が
力尽きて浮かぶ日。
831がもうすぐ終わる。
上手に泳げなくていいよ、君の水槽はここじゃないよ。
そう言えたらどんなに良いだろう。
私は自分の泳げる場所を見つけるのにとてもとても時間がかかったから
どうか見つかるまではこの泳ぎづらい世界を生きて欲しい。
平凡にも一般人にもなれなかった生き損ないの私が幸せに生きているから
どうか、君も幸せになれますように。

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